crossline

« 眠れる牛、起きる? | トップページ | アーカイブ(1) »

コレクション

 フランスに行った時のことです。
 初めて会う人に自己紹介したりすると、三言、四言目ぐらいに「あなたのコレクションは?」と聞かれました。最初のうちは「なんでそんなこと聞くのかな?」と思っていたですが、何人かの人に「あなたのコレクションは?」と聞かれ、これはもしやフランスで普通のことなのかと気付きました。

 日本なら「趣味は?」とは聞いても「何をコレクションしていますか?」っていきなり聞かないですよね。

 そのころ特にコレクションをしてなかった私は、「趣味はあるけど、コレクションはないです」と答えていました。

 ほどなくして、これは挨拶代わりなのだと思い、すぐに「あなたは?」と聞き返すようにしました。するととっても嬉しそうに自慢げに「私はね、、」と話してくれましたし、見せてもくれました。

 まず、ホームステイ先のパパは映画のポスター。ママは食器。大学生のホストは日本のアニメもの。向かいに住んでる仲良しのパパはサックスフォンのオブジェ。ママは指貫。

 これがみんな半端じゃないんです。数もさることながら、どれも素敵で、そして、それを飾る棚も特注だったり、映画のポスターを貼ってあるご自慢の屋根裏部屋があったりと。

 指貫は世界中のものがあり、何百個というオーダーでした。ひとつひとつ、観光地などの絵が書いてあり、もちろん日本のもありました。こんなおみやげがあるんだ~と感心しきり。
 それが指貫専用の棚にきれいに収められていて、ひとつひとつうんちくがあり、実に丁寧に説明してくれました。展示解説の原点ここにありきって感じでした。

 単に揃えて持っているだけでなく、その飾り方(展示)に凝っていて、けっしてしまいこまず、いつ誰が来ても「見せれる」ようになっているのです。

 少なくとも私の知り合ったフランス人は皆、家に小さな美術館や博物館を持っていると言えます。
 美術館、博物館の大元はこのようなコレクションの習慣から来ているのかなと思った次第です。日常家庭ですでに来客者に対するファシリテーションが習慣化されている感じがしました。

 田舎町の小さなお城の博物館でさえ、とても凝っていて、フランス語が読めなくてもぜんぜん平気で、触ったり、覗いたり、見入ったりとこどもも大人も楽しめたのは、そんな日常性が背景にあるからかもしれません。

 逆に日本はというと、季節ごとに花器を換えたり、掛け軸を換えたりと、よりすぐったものを外に出し、あとは「蔵」に入れておくという習慣があります。多くのことは語らず、あるがままの空間を感じていただくという接待が茶の湯からの流れでしょうか?美意識の違いのひとつの特徴のように思います。

 欧米的展示は、日本ではまだまだ未発達で、これからのように思います。地方の小さな美術館や博物館、科学館など、採算が合わなく民営化に向かっているのは、ひとつには展示の魅力不足があるのではないでしょうか。

 博物館展示の文学部のS先生に聞くところによると、海外で「見せる、楽しませる」技量やセンスを学んだ人たちがまもなくたくさん日本に戻ってくる時期なのだそうです。ぜひとも旋風を巻き起こしてほしいものです。



人気blogランキングへ

« 眠れる牛、起きる? | トップページ | アーカイブ(1) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/144315/9807529

この記事へのトラックバック一覧です: コレクション:

« 眠れる牛、起きる? | トップページ | アーカイブ(1) »